香りはダイレクトに気持ちを揺り動かすので、課金する価値は大いにある。お気に入りの香りのアロマと香水を思い浮かべるだけで気持ちがウキウキする。
ラベンダーのアロマオイルを垂らし、就寝準備をする。風呂上がりにはサボンの香水をつけてスッキリするという具合に、香りで自らの情緒を安定させている自信がある。
アロマを焚きながらヨガをするのが日課という友人がいたが、彼女は徹底的に自分を大切にできる人だった。常日頃から幸福を噛み締めて生きるような姿勢が素敵だった。その生活には香りがあった。香りの占める比重は意外に大きいのかもしれない。
選択の連続に疲弊し、満足しないまま選んだものを身につけることが続いた。でも、軸足が定まっておらず不安定だった。漂流するほどの元気と勇気がなかったので、いつも外ばかり見て落胆していた。
しかし、人生の幸福度を左右するのは、一人の時の過ごし方である。外側で起きていることではない。
梨木香歩のエッセイ中にもあるが、自分の部屋への感情と自分に対する感情は一致するのではないかということがある。自分の部屋に居心地の悪さを覚えている場合、自分との付き合い方に失敗している。ヴァージニアウルフの「自分ひとりの部屋」にも言及し、部屋と自己の関係性について述べる。(原文が手元にないので、うろ覚えだが)
疲弊して洗濯物を溜め、数日間掃除機をかけることをサボり、塵を積もらせていたら、突然ながら情緒のコントロールが難しかった。自分を愛すること、自分を受け入れること。これは永遠の課題だが、自分の部屋に解決の糸口がある気がする。
Konmariのときめき(spark joy)に基づく片付け法は、もはや世界的なものとなった。これは、実のところセルフケアにも繋がっていると思う。人間関係とかもそうだが、心躍らせるとか、心理的安心を確保できるとか、そういった要素がなければ人生は退屈してしまう。それどころか、どんどん周囲のものに生気を吸い込まれてしまう。
だから、ときめくもので周りを囲む。
これは生存戦略かもしれない。
まずは、ときめく香りを見つけ出すことから。
わたしはなんだかんだ、うまく自分と付き合えている。