Naegi

逍遥

雪の枝

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ちょうど一週間前、友人たちと京都へ出かけた。

一週間でこれほどまでに世界はドラスティックに変わるのか…という驚き。私は、言語の使用の面から、全て「社会人」的なものへの変更を迫られている。絶対に、こうしたものから逃れてやる、と決意していたものの、早速流されそうで怖い。

 

就活中、親しい人から「絶対に魂だけは売るな」と言われた。それは、千と千尋の神隠しにおいて、千尋が名前を書き間違えたように。本当に大切なものは、絶対に売り渡したくない。

 

さっそく、社会人になって感じたこと。それは、空の美しさを礼賛する余裕がないこと。写真を撮る暇がないのだ。学生時代のカメラロールを見返すと、私は常に、大学の周りの池や空、木々をカメラに捉えていた。オフィスにいると、そうした空気を感じることはできない。

 

外を歩きたい。逍遥したい、という欲求は日に日に増していく。私は、決して、組織において潤滑油になれない人間だということをさいきん、強く感じている。当たり前のことができない。

 

学歴は仕事の出来を保証するわけでもない。学生時代の華やかな経歴や強いガクチカがあるからといって、うまく働けるわけではない。一つの事例から、全てを敷衍して考えるには無理がある。

 

もう少し割り切れるのかと思ったが、週5勤務は思ったよりも生活を支配する。気を抜いたら、きっと労働のことばかり考えてしまう。開始2日目にして、不安な気持ちに支配されて、悔しい。それでも私には、しなやかさがある。それはどんなに重圧があっても折れないレジリエンスの強さだ。雪に耐える木の枝のように、どんな重圧に出会っても、しなやかに軽やかに乗り切ってみせるのが私なのだ。大きな不安と、自分への失望。こうしたものを保存しているストレージを別のものに変換したら、きっと私は飛躍できるのだ。

そう信じている。