Naegi

逍遥

2024

年が明けた。修論を出して郷里に帰って、また戻った。この土地での暮らしも、もうすぐ終わる。6年住むことになるなんて思いもしなかった。長い。

 

地元から大学に行くには、早くても6時間。長旅だ。よくこんな時間をかけて試験を受けたな…と数年前の自分に感心する。

 

年末年始、胃腸を壊した。テレビは暗いニュースを流す。それを聴きながら、横臥したり、トイレに行ったりしていた。

 

数字が伝える事態の大きさ。人間は数字では語り得ないものだ。報道は数字で悲惨な状況を語る。言葉さえも語りつくせないというのに。カメラロールをさかのぼり、数年前に現地を訪れたときのことを思い出した。海鮮丼の店の人たちは無事だろうか。

 

壊れた胃腸を抱えながら、現地で胃腸炎になっている人はいないだろうか。ふと考えた。インフラが止まってしまった状態で病に罹るということ。人間の尊厳が脅かされる状態だ。

 

いまの私ができることなんて募金くらいしかないけれど、一刻も早く事態が収束することを祈っている。

 

 

修士論文も充分にに書けたとはいえないけれど、もういいやという諦念が芽生えた。論文を書くことは難しい。命を削ることだ。私はもう限界を見た。あれほど体調を崩したのだから、もう暫くは論文を書きません。機会があれば、一般向けに書籍化してみようかなと思うくらい。テーマは面白いと思う。14万字。一般向けに本にするなら、いくらでも書くよ。論文の体裁で文章を書くのが苦痛なだけで。何でだろうね、自分の文章の下手さ加減とか、論理が破綻してることとか、そういうことを思ってはため息をついていたよ。

 

今年のゆるやかな目標は、愛に基づいて生きること、です。冷笑から離れること、でもある。冷笑で結束を深めない、愛によって結託すること。ここ数年の反省だが、私はかなり冷笑に寄っていた。冷笑って楽だもんね、他者の瑕疵を指摘するのって、何かを生み出すよりも楽だから。

修士論文で産みの苦しみを味わったから、もう冷笑しない!誓う!

 

時代は愛ですよ、陳腐な文句だけどね。

 

消費を自己目的化しない、も追加で。胃腸を病んでから、食べる量が減った。美味しいものを食べること、お酒を飲むことがしあわせだと思っていたのに、裏切られた気分がした。でも、案外食べなくても幸せだなと気づいた。修士2年で体重は8キロ増えた。そろそろ、食に気をつけるフェーズな入ったのかもしれない。消費に拘るのもやめよう。

 

逍遥の旅に出かけるのが今年のひそやかな楽しみ。消費に生き急がず、ゆるやかに伸びやかに人生を謳歌するのだ!まずは修了を祈念しよう。

お願い、修士号をください…!今年が良い一年になりますように、短冊に書いたことにする。