Naegi

逍遥

0519 要約の話

わたしは得手不得手がはっきりしすぎているタイプなので、今後に不安が残る。抽象的なことを考えることは好きだが、作業の精度は高くない。慣れるまで人一倍時間がかかる。今でこそ楽しい研究も、軌道に乗るまで3年くらいかかった。

 

もしかしたら石の上にも三年という諺はわたしにとって金言かもしれない。そして、焦らなければ大丈夫。

 

今日も焦って論文を進めたが、思うように文が動いていくわけではない。うまく進められる時、文の躍動を感じる。

 

今更ながら英語の勉強を再開した。また、ここから始めていこう。英語の参考者は厳ついから困る。受験参考書全般にいえることだが、参考書のデザインに圧迫感がある。完璧にしなくてはならなない!ミスは許されない!そう言わんばかりのゴシック体である。別に誰も悪くなく、わたしが文句言っているだけなのだが。

 

受験生の頃は思い出したくない事柄ばかりだが、現代文は本当に楽しかった。あの頃、必死で要約の練習に取り組んできたことが今になって活きている。要約する力は、研究の要と言ってよいだろう。先行する文献を批判的に読むためには、要約の力が必要だ。先行研究の余白を指摘するにしても、要約しなければ埒があかない。それだけではなく、議論の場においても「要約上手」がいるだけで進みがよくなる。要約は汎用性の高いスキルなのだ。

 

AIがエントリーシートを書いてくれるらしい。わたしは文系院生の意地があったので、一度も頼ることがなかった。文を書くのは楽しいので、自分の言葉で書きたい。そんな気持ちで譲らなかったのだが、chatGPTの要約力はかなり優れているので、有用なツールとなるのだろう。悲観視はしていないが、要約力が軽視されるようになれば、それは懸念すべきことであろう。

 

要約はAIにやらせれば良い。業務の効率化のためにはやむを得ない側面もあるだろう。もちろん、個人情報といった機密事項の運用でAIの使用は言語道断だろう。ただし、そうではない瑣末な内容の要約はこれからAIがかなり有用だろう。

 

それでも、要約の力は等閑視すべきではない。意見を集約すること、膨大な資料から重要な内容を抽出すること。要約によって技術が洗練されていくのである。だから、線引きはかなり慎重に行うべきだろう。完全にAIに投げるのは危険である。

 

テストでの言語運用、会話での運用において語彙レベルに大幅な差異が見られると、まずいだろう。AIに生成してもらうにしても、語彙レベルの調整も必要だろう。

 

…ここまで書いてきて、わたしの言語使用についても、研究の年数を経るにつれ、かなり堅苦しくなったのは事実である。もっと、気楽に使える言葉があればと思うのだが、なかなか難しい。こうしたエッセイでの語りの手法についても、考案しなければならない…これはAIも得意とする分野だろう。模倣はとてもうまい。ただ、わたしの言語自体が確立されていないので、これから模索する必要があるのだろうな。