北海道旅行記録を放置しているのは、ひとえに修論に追われてるからだ。夏は心の調子があまり良くなくて、思考もままならない状態だった。気温が下がった途端、文字が頭に入るようになり、筆が進む。金木犀の季節はいつも心が穏やかだ。秋と冬が大好き。
発表会で割と高めのハードルを突きつけられて、慌てて調査をしているので、旅行の記憶が忘却の淵に…
それでは、北海道旅行4日目の記録です。
朝5時に起きて、美幌峠に。雲海を見た。
朝という時間を久々に体感した。フルフレックス大学院生なので、一日は昼から始まっていると錯覚している。
摩周湖。ポケモンを思い出すよね〜と話していた。場所的に、アグノムが出てきそう。小学生だった時はユクシーが一番好きだったな。
草津温泉の湯畑を思い出す。
弟子屈の街に戻り、釧路を目指す。どうやら80キロくらいあったようだ。私は牧草地や湿地をずっと見ていた。梨木香歩のエッセイで見た景色を思い出す。具体的には言えないのに、なんとなくイギリスの風景が思い浮かぶ。
友人の1人が釧路空港から帰途についた。直行便がないので、私は札幌に一泊してから帰ることに。運転する車に揺られて釧路から札幌に向かうのだが、高速道路が通行止めになった。これが何を意味するのか、私はわからなかった。
ひたすら湿地を走る。海岸線が続く。眠くて仕方がないが、運転手のことを考えれば眠れない。それに、北海道の風景を焼き付けていかねば、という使命もあった。よくわからない使命。
帯広までの道中は、なかなか信号機がなく、止まらない不安に駆られていた。浦幌、幕別などの地名を見る。帰宅後、今更ながら『銀の匙』にハマるのだが、エゾノーの学生たちはこの辺から来ていたのねぇ。
帯広に着く。暗くてわからないが、国道沿いは私の地元と似ていた。たぶん、全国どこも似ているのかもしれないが。暗闇で畑や牧草も見えない。でも、帯広は再訪したい。(なぜなら銀の匙が好きだから……。いい物語だな。大学入学直後、先生(いまの指導教員)がこの物語を勧めてくださったのもわかる。)
競馬場、白樺の道などに行って、豚丼を食べたい。
帯広からやっと、高速に乗る。喜びも束の間、占冠〜夕張まで通行止めという表示を見る。それが何を意味するのか、知るよしもなく、呑気にSuchmosを聴いていた。真っ暗闇のstay tune 。
トマムのタワーが見える。むかし、トマムの宿に泊まったらしい。記憶がない。ここから下道へ。
恐怖の峠越えスタート。マジで光がない。頼れるのは車のヘッドライトのみ。反射材に助けられつつ、峠を越える。いくつものカーブを超える。カーブの度に祈る。時折窓の方に目をやると、針葉樹が見える。やはり針葉樹は冷たい印象を受ける。
梨木香歩の「水辺にて」においても、針葉樹の近寄りがたさが記述されていた。針葉樹への憧憬って、あるよね。
でも、この憧れは畏怖に近い。自然に対する畏怖。人工物に囲まれることを自明視しているが、実はそうではない。人間の脆弱さを改めて知る。光のない山の稜線を見る。こちらの山では鉄塔が光っているのに、夕張の峠には一切の光がない。
夕張から高速に乗った時の、安堵感たるや。以降、私は少し謙虚になったと思う。というより、幸運に対するハードルが低くなったような気がしている。
ネイチャーライティングに興味を持ったのは、この夜以降だった…私はもっと、森を知りたい。マルシャークの森は生きている、なのだ。
札幌は光でいっぱいだった。
翌日。小樽の美術館を巡り、北大の博物館を堪能したのち、空港へ。
似鳥美術館、とても良かった…日本美術の系譜を概観できるのだ。吉田博や川瀬巴水の特別展(銀行跡)も良かった。旅行先で、旅行の絵画が見れるなんて…!と嬉しくなった。
小樽は二年前も来ていたのだが、雪の日だったし、食がメインだったので印象は大きく変わった。美術を堪能できるのも良い。
北海道大学があまりにも素敵すぎて、研究室を調べてしまった。現実的には進学を考えられないけれどね。キャリア的にも、研究内容的にも。
高校時代に北大を訪れていたならば、目指していたかもしれない。柳の木の下で、本を読みたい。博物館で、ひたすら北方民族の民話を読む。もっと時間かけたかった…この辺りについては、民博で復習しようね。
千歳空港でも、スープカレーや四つ葉のソフトクリームを堪能し、飛行機へ。
今回の北海道旅行は、あまりにも収穫が大きかった。これをエンジンとして、修論がかけそうな勢い。
こんな調子だから、来年も北海道を訪れる予定だ。北海道大好き(雪の時期を知らないから…というのは、本当にそうなのだが)…
いつまで経っても南の方に興味がいかないのだが、来年は南の島にも行きたいと思った。夢に出てきたからです。仕事と節約頑張るネ、その前に修論か…