私の悩みのひとつは、当たり障りのない話ができないことである。
初対面の人との話題は料理が一番良い、とかいうけれど料理で場をつなげられるほどの含蓄はなく、結局問わず語りに落ち着いてしまう。
そう、自分語りに走るのだ。
自分語りはそれなりに打ち解けていない状態でしてはいけないと思っているのに。
なぜ私はこの大学を選んだのか。
何を研究しているのか。
高校時代の話。
幼少期の話。
ブログみたいな媒体であれば問題ないのだが、カジュアルな会話ではおそらくそれほど好まれない話題だろう。
大学の話をすれば、学歴というものがついて回るし、高校時代の話をすれば出身校への批判は避けられない。幼少期の話をすれば、都会と田舎の文化資本の差について触れることになり、結局社会問題とされることを一個人の経験に安易に結びつけてしまうのだ。
うん、全くふさわしくない。
下手すれば、身も蓋もない話ばかりしてみっともない、とお叱りの言葉を受けそうである。
人気のドラマやアニメの話をすればいいじゃないかとなるだろうが、それも難しい。
恋愛、暴力といったセンシティブな内容を含むものを避けて生きてきたので、みんなが知っているはずの作品のほとんどを知らない。
ジャンプ系統の漫画やアニメをほとんど触れずにここまで生きてきたし、テレビドラマもほとんど観ていない。
音楽もいわゆるメインストリームに位置づけられるものを追ってはこなかったし、映画も詳しくない。
このような「語り」をすれば、サブカルクソ女の戯言とも受け取られかねないだろう。
が、別段私はこの経歴を誇りに思っていないし、メインストリームとの距離感をアイデンティティとしているわけでもない。
ただ偏食なだけなのだ。
食わず嫌いではなく、一応ストリーミングサービスで試してみたものの、ダメだったパターンがほとんど。
その代わり、ハマった作品を狂ったように観る。
好きなドラマシリーズは台詞の一つ一つを覚えるくらい何回も観たし、好きな音楽だけを集めた音楽を延々にリピートしていたし、観る映画も読む本もかなり偏りがある。
だから、何が好きなの?と訊かれた時に無難な答えが出せない。好きなものに関する問いが怖い。
偏愛、偏食。
これに特徴づけられる。ただそれだけ。
マニアックなものが好きというより、特定のものをひたすら追いかけてしまう。
私は外見から「あなたオタクね?」「アニメ好きでしょ」って勝手に判断されることが多いのだが、その度に面食らう。
⚪︎⚪︎オタクといえる趣味はたくさんあるが、世間一般のオタクの定義とずれがあるし、アニメも詳しくない。
だから、初対面で話すのは怖いんだよな
できないんじゃなくて、怖い
ドン引きされるのがわかるから。
そういえば初対面の相手と、ひろゆきの「論法」について話したこともあった。
初対面でする話ではないだろう。
確実に。
英語のスピーキング力を上げるために、英語での懇親会に顔を出すことも多いのだが、そもそも話す話題が思いつかないので黙ってしまうことが多い。
語学力以前の問題である。
英語力のなさに甘んじて「寿司が大好き」って語ったら、それなりに会話は弾んだので、料理に関するインプットを増やせばいいのかなぁとは思う。
でもなぁ、本当に興味のある話はいかに世界の伝統料理を日本で再現するかって話なんだよな〜
いや、これはいい話題かもしれない。
就活のとき、エスニック料理作りが好き、と言ったところかなりウケが良かったので。
そんなに作らないけど()
そろそろ偏食をやめるときなのかもしれない。